家電が壊れたときなどに、「修理すれば使えそうだけど、買い替えたほうがいいのかなあ」と考えるときがあります。
買ってからそれほど時間が経っていない場合には、なおさらそう思うことが多いはずです。
でも特定の機種にこだわりがあって買い替えたいわけではないし、とりあえず安く使えればいい。
この「修理か買い替えか」を迷うときに判断基準となることは、ネットで調べてみるといくつか該当するものがあります。
「購入から◯年経っていたら」、「修理費が買ったときの◯%以上なら」、「◯年経ったら技術的に進歩しているから」というもの。
しかしそれらはどうも根拠が不十分に思えます。
購入してからの年数で考えても、どんな製品を使っているかによって寿命は違います。
修理費が高くても安くても、買い替えるのにかかる値段と比較しなければ意味がない。
技術の進歩は製品によりますし、それほどハイスペックなものは求めていない。
修理と買い替えの2つを比較して知りたいのは、「どっちがどのくらい得になるのか」ということです。
今回はその方法を必要となる金額÷これから使用する期間という方法で算出して、修理するか買い替えるかを具体的な数字で比較します。
「必要となる金額÷これから使用する期間」で比較
修理と買い替えのどちらが得なのかを計算する方法は、
(修理・買い替えそれぞれに)必要となる金額÷これから使用する期間です。
この計算の結果を比較することによってどちらが得なのかがはっきり分かります。
計算に必要な要素
ではこの計算に必要となる2つの要素について説明します。
まず修理・買い替えにそれぞれ必要な金額はそのままの意味です。
修理でしたら、メーカー見積もりや修理部品の金額。
買い替える場合なら、買い換えようとしている商品の価格となります。
次にこれから使用する期間ですが、これは一筋縄では行きません。
これから使用する期間というのは将来のことですから、ふつうわかるはずがありません。
ですが後ほど説明するように、これがわからないと正確に修理と買い替えの両パターンを正確に比較してどちらが得なのかを計算することができないのです。
そこで目安としたいのが各メーカーが出している耐久年数です。
主に家電製品の場合、修理するのに必要な部品を保有する年数が各メーカーによって定められています。
これは説明書や製品本体に書かれているほか、各メーカーのホームページにも掲載されています(日立やパナソニックなど)。
製造終了から定められた年数は性能を維持できる修理部品を保有しておくというもので、少なくともその年数は製品が使えることを裏付けています。
また自分自身や周りの人の経験から導き出すのも良いと思います。
スマホなど多くの人が持っているものは、どの程度使ったら不調が出たのかや故障してしまったのかということを聞きやすいでしょう。
この2つの要素によって算出した金額を、修理した場合と買い替えた場合で比較することでどちらが得するのかが分かります。
期間を揃えることで比較する
今回必要となる金額÷これから使用する期間という計算式を採用しているのはなぜか。
その理由は、修理と買い替えではその後製品が使用できる長さが異なるはずだからです。
買い替えるときは多くの場合新品を購入するはずなので、初期不良等が無い限りメーカーが想定している期間使用ができるはずです。
一方で製品そのものを交換する場合を除いて、修理するときは部品を交換したとしても製品全体の寿命が伸びるとは考えにくいです。
一部分が新品同様になったとしても、使い続けていたその他の部分が故障することによって製品全体が使えなくなる可能性が高い。
そのため、修理と買い替えはその後の製品寿命の違いを考慮して比較する必要があります。
したがって計算するときに買い替えはメーカー等によって定められた製品寿命を参照しますが、修理する場合の計算では残りの製品寿命(製品寿命-すでに使用している期間)を使って計算します。
今回の計算式を使用することで、年単位なら年単位、月単位なら月単位というふうに期間を揃えて費用を比較することができます。
実際に計算してみる
計算式について説明したところで、実際に数字を用いて計算してみたいと思います。
修理するか買い替えるかを実例から考える
今回この計算を考えた理由は、自分が持っていた炊飯器の内釜が歪んでしまったからです。
炊飯器の内釜を落としてしまい変形してしまったため、炊飯器本体にきれいに入らなくなってしまったどころか蓋もしっかりしめられなくなってしまいました。
使いにくい上に歪んだ内釜を使うときれいにお米が炊けないという情報もあったことから、内釜を買い直そうして値段を調べてみます。
すると内釜の値段は10,000円を超えており、元々炊飯器を買ったときの半分くらいの値段がする高価な部品でした。
正直もっと安いものだと思っていたので面食らったこともあり、一度思い直して今度は買い替えることも検討してみます。
今の炊飯器はかなりいい性能をしているんですが、今の自分にとっては必要以上のスペックだと使ってみてかんじていました。
なのでどうせ買い替えるなら今このタイミングで買ってもいいのではないかというふうに思ったわけです。
しかしだからといって買い替えるのも、絶対にこれがほしいというこだわりみたいなのがあるわけではないんですよね。
つまり求めているレベルの炊飯器が使えればいいだけなので、どっちのほうが安いのかで決めようと思ってこの計算をしてみることにしました。
計算に必要な要素の整理
計算するにあたって必要な要素を整理します。
まずそれぞれに必要な費用についてですが、メーカー説明書を読んだところ修理=内釜を買い替えるには11,880円かかります。
自分が持っている炊飯器です。圧力IH式ですがややオーバースペックにも感じています。
次に買い替える場合の製品ですが自分が求めている条件に当てはまる製品として、象印のIH炊飯器NW-VD10-BAに目星をつけました。
amazonで見たところ約17,000円でしたので、これを買い替えに必要な費用とします。
そして炊飯器が使える期間についてですが、日立も象印も想定される使用期間は6年という記載でした。
ただ経験的にいってそんな簡単に壊れるような製品ではないと考えているので、今回はそれにプラス1年して7年を使用できる期間として設定します。
新品の場合は7年使えることを想定しているので、修理する場合は今まで使用してきた期間を差し引いた残りの製品寿命を使用します。
今回は2年使ったあとに内釜を損傷してしまったので、本体の残りの寿命は5年と推定します。
計算した結果
一度計算する要素をまとめます。
修理する場合
- 費用:11,880円(内釜の値段)
- 残りの製品寿命:5年(2年間使っているため、製品寿命が減っている)
買い替える場合
- 費用:17,000円(象印NW-VD10-BA)
- 製品寿命:7年
これらを計算して1年あたりにどのくらいの費用がかかるのかを比較すると、次のとおりになります。
修理する場合
◯ 1年あたり2,376円(11,880円÷5年)
買い替える場合
◯ 1年あたり2,428円(17,000円÷7年)
ということで結果としては修理するほうが得という計算結果が出ました。
しかしながら年単位で見ても誤差レベルの違いなので、この程度であれば買い替えてもいいという考え方もあるかもしれません。
ちなみに、「買い替えたほうが長く使えるから得なのでは?」という意見もあるかもしれません。
ですが修理したあとに買い替えたものと同じ値段水準のものを買うと仮定すれば、修理したものを使った期間だけ買うことを先延ばしできるため結果的に長く使えることになります。
修理か買い替えの目安の一般的な傾向
費用や使用期間は個別具体的なので、計算してみないとなんともいえません。
ただこの計算式に使って考えると、一般的な傾向として考えると次のようなことがいえます。
- 残りの製品寿命が長いほど、修理したほうが得。
- 修理費が安いほど、修理したほうが得。
逆のことも言えます。
- 残りの製品寿命が短いほど、買い替えたほうが得。
- 買い替える製品が安いほど、買い替えたほうが得。
このように表現すると、かなり直感に近いのではないでしょうか。
これをより具体的・客観的なかたちで表しているのが、今回の計算式となります。
また今回は複雑になるので検討しませんでしたが、実際に買い替える際には捨てるのにお金がかかったり、あるいはまだ使えるので売ることができるものもあると思います。
その際には捨てることでかかった金額や売ることで得た金額を、買い替える際の値段・費用から増減して計算すると良いでしょう。
費用が分かれば、他の要素も判断しやすい
ということで修理と買い替えのどちらが得なのかを計算する方法でした。
必要となる金額÷これから使用する期間で導き出した年・月単位あたりにかかる費用を比較することで、どちらが経済的なのかを判断できます。
今回自分は使う製品にはなんにもこだわりがなかったり、修理や買い替えにかかる手間も考えず完全にどっちが安いかという視点だけで比較しました。
実際のところ修理や買い替えをしようと思うと色々な手間がかかってくると思います。
ですが今回の方法でどっちがどのくらい得なのかというのを算出しておくと、
「1年間にこの程度しか変わらないなら、新しいもののほうがいいな」とか
「修理に出すのは面倒だけど、ここまで費用に差があるなら修理に出したほうがいいな」
ということを客観的に判断できる材料になります。
ぜひ今回の計算方法を使って、修理か買い替えか、判断してみてはどうでしょうか。