セミリタイアを目指す上で、実家と一人暮らしのどっちが良いか知りたい。
節約のためには実家暮らしの方が良いけど、デメリットもある?
結論からいうと、セミリタイアを目指す上で実家暮らしのデメリットは大きいです。
経済的なメリットも大きいですが、セミリタイアを前提に考えたときにマイナスの要素が多いです。
親子仲は良い方ですが、それでも私は実家暮らしより一人暮らしにメリットを感じます。
今回はセミリタイアを考えて迷っている方に、実家暮らしの良い点と悪い点を解説します。
実家暮らしのデメリット
実家暮らしのデメリットは以下の通りです。
- 継続的なセミリタイアに向かない
- 必要最小限の生活を知りづらい
- 一人で暮らすスキルが身につかない
- 時間や空間の自由度がない
- 周囲の目や世間体の問題
継続的なセミリタイアに向かない
実家暮らしを前提にしていると、経済的・精神的自立が難しくなります。
経済的にも生活としても、実家暮らしはセミリタイアの基礎を実家においてしまうことです。
残念ながら寿命通りであれば20~30年早く、両親は自分よりも早くこの世を去ります。
つまり実家暮らしは、永遠に継続することはできません。
実家ではなく、自分の中にセミリタイアできる基盤があるのかどうかは、その後のセミリタイア生活の継続性を左右します。
- 一人で暮らす場合、どのくらいのお金が必要か把握しているのか。
- 実家がなくなった場合のキャッシュフローはどうなっているのか。
- 家事をすべて自分でする状態で、生活を回していけるのか。
これらの点で実家暮らしをしながら、自立したセミリタイアを成し遂げるのは難しいです。
実家暮らしを前提とするセミリタイア
経済的にも精神的にも自立していないセミリタイアは、セミリタイアと呼べるのでしょうか。
セミリタイアの条件は、働かなくても暮らしていけること。
つまり労働に頼らなくて良くなる状態です。
しかし実家に基盤がある状態のセミリタイアは、単に生活を頼る対象が労働から実家に移っただけです。
仕事がなければ生活を続けられない状態と、実家がなくなってしまえば自立できないことも同様です。
実家暮らし自体を否定しませんが、実家を基盤にした生活を前提にするべきではないでしょう。
自分にとっての必要最小限を知りづらい
実家で過ごすと、自分ひとりが生活できる必要最小限度を見極めづらくなります。
自分の生活の最低限を知るのは、必要な収入額も分かるし、結果的にセミリタイアの継続力を高められるからです。
一人で暮らしていく事になった場合、生活レベルを落とさざるを得ません。
後ほど語るように、基本的には住環境は実家暮らしのほうが良いケースがほとんどです。
ですが生活レベルは簡単に上げることができても、下げにくくなります。
自分から率先して悪い環境に飛び込んでいくのですから、精神的な抵抗感が強いためです。
一人暮らしの最低限は一人暮らしでしかわからない
一人暮らしなら、生きていく最低限の条件を感覚的に理解できます。
- 必要な部屋の広さ
- 不可欠な家具
- 日用品の種類 など
自分にとって何が必要か不要か判別し、自然と支出が抑えられるでしょう。
実家には実家のルールがありますから、すべてを自分で左右するわけにはいきません。
また複数人で生活するため、本来は不要なモノも自然と使用しています。
収入や資産がいくらあっても、過剰な支出をし続ければセミリタイア生活は崩壊してしまいます。
一人暮らしのスキルが身につかない
実家で暮らすと、基本的な家事のスキルを身体で覚える機会を失います。
確かに料理や掃除など、個別のことは実家でもできるでしょう。
ですがすべての家事を生活しながら一人で続けていけるかは、また別のスキルになります。
どんなにうまく料理ができても、掃除を効率的に行ったとしても。
生活のなかで続けていくこととは別です。
それほど料理が上手でなくとも、掃除が適当でも。
自分が納得できるクオリティを続けていくスキルが求められます。
毎週、毎月、毎年家事をしながら生活サイクルを回し続けるのは、一人暮らしの孤立した環境でしかできません。
生活を続けられなければ、個別の家事スキルは無用の長物になります。
自由度がない
実家で家族と暮らす上では、全てが自分の思うままにはなりません。
セミリタイアしたら、自分の時間を思うように使いたいと考えるでしょう。
しかし実家で家族と暮らしていけば、時間や空間を思い通りにはできない点もあります。
- トイレやお風呂などの設備は共用なので、家族が使っていたら自分は使えません。
- 両親が仕事をやめていれば、自分以外の人が常に家にいます。
- 生活リズムが合わないと、ストレスが貯まることもある。
- 頼まれごとをされれば、やりたいことにすべての時間を割くことはできません。
実家で家族と暮らすのは、少なからず時間や空間も共有することです。
全てが自分の自由にできるわけではないでしょう。
世間体の問題
実家に住むことについて自分がなんとも思わなくとも、親が悩んだり困ったりすることはあるでしょう。
世間体にとらわれないことは、たしかに大事です。
ですがそれで周囲を困らせ、悩ませることは別です。
セミリタイアを目指しているのであれば、それほど世間の目は気にならないかもしれません。
ですがセミリタイアはまだ世間的に受け入れられづらく、特に親世代にとっては理解しづらい考え方。
実家で同居する両親は、あなたとはまた違う考えや思いを持つでしょう。
考え方について相違があるまま節約のためだけに実家暮らし、セミリタイアをすれば、両親との間で不和が起こります。
- 定職につかないことへの小言を言われる
- 家のことを何もしないことに腹を立てられる
上手くコミュニケーションを取らなければ、ストレス無く実家で暮らすことも、暮らし続けることすらも難しくなります。
実家暮らしのメリット
ここまで実家暮らしのデメリットを説明しましたが、メリットも存在します。
- 支出を削れる
- 良い住環境で暮らせる
- 親の面倒を見やすい
支出を削れる
家賃、食費、水道光熱費など家族共同で負担する費用を払わないのであれば、一人暮らしと比べて支出が50~75%は減ります。
また自分が直接お金を払わなくても、実家にお金を入れたほうが喜ばれます。
一人暮らしでかかるお金と比較すれば、実家にお金を入れてもお釣りが来るでしょう。
そのため大きく節約することができるので、セミリタイアに必要な資産をつくれます。
間違いなく一人で暮らす費用より、支出を抑えることができます。
良い住環境で暮らせる
複数人で大きな家で暮らせば、一人暮らしのワンルームとは断然違うしっかりとした住環境が保証されています。
- リビングなどの部屋の広さ
- 物件自体の造りの良さ
- 水回りのグレードの高さ
また両親が生活を支えてくれることも期待できます。
掃除や料理など、代わりにやってもらえるならその分自分の時間も増えます。
介護など親の面倒を見やすい
親が高齢になってくるにつれて、怪我や病気になったときに面倒を見る必要が出てきます。
その際に一緒に住んでいれば、手助けしやすいです。
怪我や病気になっていなくとも、老化とともにできることは減っていきます。
近くにいて手助けする役割を担えれば、両親としても喜ばしいことでしょう。
自立した実家暮らしセミリタイア
自立したセミリタイアを実家で送るためには、実家に必ずしも頼らない生活基盤を自分の中に持っておくことが必要になります。
一人暮らしと実家暮らしを使い分ける
自立した実家暮らしをしてセミリタイアするにはどうするべきか。
例えば20代は実家暮らし、30代はひとり暮らしなど、それぞれのメリットを使い分けてはどうでしょうか。
20代のうちに蓄財すれば、投資の複利効果を最大限に生かせます。
例えば23~29歳まで7年間実家暮らしをして支出を抑えて投資をすると、それだけでセミリタイアに向けて十分な資産をつくれます。
月10万円を7年続けて年6%の利率で運用すれば1,000万円、月15万円なら1,500万円。
そのあと一人暮らしなどで収入と支出が同じになり30年投資をしなくても、6,000~9,000万円になります。
それだけ初期に投資を始める影響は大きいのです。
一方で経済的・精神的に実家が生活の基礎になると、自立したセミリタイアが困難になるのは説明したとおりです。
従って機をうかがい、一人暮らしをするのが良いでしょう。
20代のうちに蓄財をしておけば、余裕のある生活が可能になります。
自立した生活をしながら、セミリタイアに必要な生活技術を蓄える期間として一人暮らしを捉えます。
お金のためだけに住むとは考えない
またセミリタイアのための実家暮らしは節約だけではなく、両親など家族にとっても利益がある生活を目指します。
自分と家族で、Win-Winの関係の実家暮らしです。
セミリタイアは親世代に理解されづらいと説明しましたが、実家の助けになることができれば多少は受け入れやすくなるはず。
それが嫌で自分のやりたいことに時間を使いたいなら、一人暮らしをして距離を置くしかないです。
複数人で住んでいる以上、自分だけの都合を優先できません。
あるいは頼り切りになっているのであれば、自立した生活を送れていません。
自分のやりたいことをやりつつ、一方で実家のためにもなることをするのが、正しい実家セミリタイアだと考えます。
それぞれのメリットを活かす生活
今回はセミリタイアを考える方へ、実家暮らしの良い点と悪い点を解説しました。
実家暮らしにはデメリットが多く、セミリタイアを前提とすると不向きな要素が多いです。
- 継続的なセミリタイアに向かない
- 必要最小限の生活を知りづらい
- 一人で暮らすスキルが身につかない
- 時間や空間の自由度がない
- 周囲の目や世間体の問題
特にセミリタイアに向けて自立する要素が奪われてしまいますので、実家ぐらしは毒にも薬にもなり得ます。
一方で経済的メリットが大きいことも確かです。
20代のうちに実家暮らしで蓄財しておけば、投資の複利効果を活かして用意に資産を大きくすることができます。
従って実家暮らしと一人暮らし、どちらも可能であれば上手く使いこなすべきでしょう。
一人暮らしでは一人で生活する技術を蓄えつつ、自由な時間を活かして必要な能力も磨いていく。
実家ぐらしでは節約で蓄財をすすめながら、一緒に暮らす家族のために自分の時間を割く。
時々でバランスを取って、セミリタイアに向けた手段を選択しましょう。
▽ 参考記事
セミリタイアのためには何をすべきか、「働くのがつらい人がセミリタイアのためにやるべきこと【ロードマップ】」にまとめています。
ものを買わない生活を心がけると、自然と節約はできます。
実家暮らしの広い部屋に頼らなくても、ワンルームで十分です。
「モノを買わない生活のメリット【節約・空間の確保・心の余裕】」で詳しく解説します。
記事でも例に上げたように、手堅く資産運用すればセミリタイアに必要な資産をつくれます。
中でもインデックス投資を進める理由を「セミリタイアしたい派遣が投資を比較するとインデックス一択な理由」で解説しました。