- 宝くじを買う日は選んだほうがいいの?
- 買う日で結果が変わることなんてあり得る?
- 大安や一粒万倍日などを信じる人がいるのはなぜ?
そんな疑問を解決します。
- 宝くじを買うのに日にちは一切関係ない理由
- 迷信を信じ込んでしまう科学的理由
- そもそもゲン担ぎに意味はあるのか
結論からいって、日にちを選んだところで、宝くじの結果にはなんの影響もありません。
吉日とされる日付と宝くじの結果には、因果関係など存在しない迷信にすぎないからです。
ですが世の中には宝くじ以外にも、様々な物事を日を選んではじめようとする人がいます。
実は迷信めいたものを信じ込んでしまうのには、科学的に根拠が存在していました。
宝くじと日にちの関係や、吉日などの迷信・ゲン担ぎを信頼してしまう理由についてわかりやすく解説していきます。
宝くじと買う日には関係がない2つの理由
年末よくニュースになるように、いわゆる吉日に宝くじを求める人はたくさんいるいますよね。
ですが買う日を選んでも、宝くじの当たり外れにはなんの関係もない理由は2つあります。
- 吉日といわれる日に根拠はない
- 宝くじが当たるかどうかは確率の問題にすぎない
吉日といわれる日に根拠はない

大安、一粒万倍日や天赦日といったいわゆる吉日には、宝くじ売り場に行列ができるのが恒例になっています。
ジャンボ宝くじが販売されている期間に複数の吉日が重なると、宝くじを買うのに5時間待つこともあるんだそうです。
しかしそういった吉日といわれる日には、明確な根拠が存在していません。
吉日とされる日の多くは、旧暦に記載されていた暦注からきているものがほとんどです。
陰陽五行説、十干十二支といった中国の占星術にあたるものに暦注は由来していて、ざっくりいえば占い程度のものでしかありません。
明治時代には太陽暦へ改暦にあたって、暦注は迷信であると政府から通達されました。
現在でも行政機関が発行するカレンダーには、六曜などの暦注は記載されていないことがほとんどです。
どれだけ昔からあった吉日であろうと、テレビやネットで日々配信される「今日の占い」と同じようなものです。
吉日は成功を保証しない
- 吉日がまったく根拠がないってことも、ないのでは?
- 運勢が悪いといわれている日は、やっぱり悪いことが起こっている気がするけど?
もしかすると過去の経験からそう思う人もいるかも知れません。
けれども本当に吉日にやることなすことがうまくいくのだとしたら、極端な例ですが次のことも成り立つはずです。
次の2日間に分けて、宝くじを販売することにします。
- 1日目は、最も運の悪いとされる日。
- 2日目は、最も運の良いとされる日だったとします。
その日の運勢に従って1日目は誰も宝くじを買わず、2日目に全ての宝くじが売れました。
2日目の運が良い日に買った人は、全員に幸運が訪れるのでしょうか。
もちろん運勢が良い日に買った人みんなが高額当選するなんてことは、宝くじの性質上ありえませんよね。
吉日というだけでは全てがうまくいくわけではない、というのがわかるのではないでしょうか。
宝くじは確率の問題でしか無い

宝くじが当たるかどうかは外部の環境になんら左右されない、シンプルに確率の問題でしかありえません。
引くタイミングや場所のような要素によって、当たりくじを引き寄せることは不可能です。
超高額馬券を当てたこともありギャンブラーとして有名な芸人のじゃいさんも、宝くじの攻略法はないと断言します。
神頼みとか、日頃の行いを良くするとか、そんな非科学なものはさておき、仮に攻略法があったとして、それを買う人全員がやったら全員が当たるということになるけど、当たりの本数が決まっている以上それはあり得ない。
「宝くじに攻略法はある?」の質問にじゃいはどう答える?【じゃいの人生は最高のギャンブルだ】第81回 – エンタメ – ニュース|週プレNEWS
例えば2023年の年末ジャンボ宝くじを1枚買ったときに1等が当たる確率は、2000万分の1(0.000005%)。
同じ場合に1等も含めて何かしらの賞が当選するのは、およそ11.11%の確率になります。
宝くじが当たるかは、この確率以上でも以下でもないのです。
もし当選確率を上げたいと思うなら、取れる方法は宝くじを買う枚数を増やすしかありません。
同じ場合を想定してくじを100枚買うと1等の確率は20万分の1、1万枚買えば2,000分の1になります。
当然、購入金額もその分上がりますが……。
運勢と確率は関係ない
宝くじを当てるのに必要な計算は、小中学校で出てきた確率の文章題と同じです。
たとえばみなさんは、以下のような問題を解かされたことがあるのではないでしょうか。
答えはもちろん5分の1ですが、この問題に次のような文章を書き加えたとしましょう。
運勢の情報を付け加えたところで答えが変わるでしょうか。きっとそんなこと無いですよね。
いつ、どのようなタイミングで引くにしても、くじの確率が変動しないことも数学で学んだことと一緒です。
>>数学で頻出!くじ引きの確率は最初に引いても最後に引いても変わらない!|塾講師ステーション情報局
どの順番で引いても確率が変わらないように、どんな日に引いたとしても宝くじが当たる確率は変わりません。
ひとが迷信を信じる科学的な理由
宝くじと日にちの関係性はなんの相関もない迷信ですが、それでも吉日を待って宝くじを求める人がたくさんいるのも事実です。
ではなぜひとはそういった根拠のない、もしくは根拠の薄い迷信を信じてしまうのでしょうか。
何となくそうしているのではなく、迷信を信じこんでしまうのは次のような科学的理由が存在するのです。
- 認知の誤り・錯覚
- 心理学における「オペラント条件づけ」
- 心理的な安心感を得るため
代表性に基づく認知の誤り
ひとはランダムな現象のなかに規則性を感じたり、見出そうとしたりする傾向があります。
単なる偶然であるにも関わらず偏見によってそれが事実だと思いこみ、迷信や誤信が生まれるのです。
アメリカの心理学者ギロビッチは、バスケットボールにおいて信じられている「ホットハンド」が誤りだと指摘します。
偶然のできごとにも関わらず、1度成功すると次も成功する可能性が高いと信じてしまうような「ホットハンドの誤謬」が生じる理由を2つ挙げました。
- 先入観によって解釈を歪めてしまうから
- ランダムなデータを誤って解釈してしまうから
先入観によって事実の解釈は歪められる

まずひとには結果が連続することを期待するようなバイアスが、そもそも存在しているのではないかという考えです。
連続した成功や失敗のほうが記憶にも残りやすいので、試合中のできごとについての解釈にも影響を与えます。
スポーツだけではなく日常でも、赤信号や青信号が連続したときのことはよく覚えていたりするのも該当します。
実際は赤と青にバランスよく当たっている日もあるのに、信号の色が連続したときだけ印象に残っているのです。
連続した時の記憶しか残っていないと、別の日に赤信号で連続して止まると「また赤信号だ」と感じてしまいます。
ランダムなデータに規則性を見出してしまう
CaitlinJo – 投稿者自身による著作物, CC 表示 3.0, リンクによる
もう一つはそうした先入観がなくても、ひとがランダムなデータをランダムではないと誤って判断してしまいがちだから。
表と裏が平等に出るコインが5回連続で表になったのを見たとき、なにかパターンがあるように感じるかもしれません。
ですがコインを20回投げたとき、5回以上連続で表が出るのはおよそ25%で起こる現象です。
偶然でおこりうる現象なのに、なにか意味があるのではないかと錯覚してしまうのです。
クラスター錯覚と呼ばれるこの錯覚は、データのばらつきをひとが過小評価することでおきます。
オペラント条件付け
人間が迷信を信じて行動してしまうのは、心理学の「オペラント条件づけ」と呼ばれる概念でも説明できます。
オペラント条件づけとは、過去の行動で良い結果が出ればその行動は増えて、ダメな結果がであれば減少するというものです。
オペラント条件づけの概念を確立した心理学者スキナーが行った実験では、無関係な行動がたまたま良い結果を招いたために、その行動を繰り返すことが証明されています。
スキナーは15秒ごとにエサが出る箱の中へ、空腹のハトをいれる実験を行いました。
ある程度時間がたった後にハトを観察すると、エサが出る直前に頭を上げたりするなど特定の行動を繰り返します。
「その行動がエサが出現する原因」かのように行動を繰り返しているのを見て、人間の迷信と同じメカニズムだと考えたのです。
当然自動的にエサは出てくるのでどんな行動をしても意味はないのですが、たまたま良い結果が出たのでその行動を繰り返してしまいます。
根拠がないにも関わらず、もっともらしい意味付けを自分の中にして、その行動を繰り返してしまうのです。
安心したい気持ち

また宝くじのような自分ではコントロールできないものでは特に、安心感を得たいからという理由もあります。
昔から天候や運勢などのどうにもならないことに対する、気休めとして迷信行動は使われた歴史がありました。
迷信を信じることで、自分でどうにもできない問題ではないと幻想を持ち、安心することができたのです。
迷信行動は、ギャンブルのようなコントロールできない場面で特に多く見られるといわれています。
自然などど同じでくじの当たりや当選番号などを引き寄せたいと願い、何かをすることによって安心感を得たいのではないでしょうか。
>>信じるものは救われる? 迷信を信じると人生がうまくいく納得の理由 – ログミーBiz
迷信・ゲン担ぎにも意味はある
ひとが安心感を得るためにしてきたのを逆手に取り、心を落ち着けるためにあえて迷信行動をすることもあります。
いわゆる、ゲン担ぎと呼ばれるものです。
迷信に基づいた行動は直接は結果に影響を与えませんが、行動することによって得られるものも実はあるのです。
メンタルからパフォーマンスに影響を与える

スポーツなどにおいて、一見意味がないと思われる行動でもパフォーマンスに好影響を与えることが証明されています。
毎試合同じ靴下を履くとか、必ず右足からラインをまたぐというのは、やってもやらなくても結果に影響を与えません。
しかしそのようなゲン担ぎが習慣化することによって心が落ち着き、結果的にパフォーマンスが良くなるといわれています。
オリンピックに出場する各国の選手にも、大一番になるほどゲン担ぎを大事にする選手は多くいました。
- 手のひらに猫を描く
- 口ひげを描く
- アンダーウェアの色を決めている
>>冬季オリンピックアスリートの幸運を招くゲン担ぎ|Olympics.com
スポーツのトップの世界では体力や技術だけではなくて、メンタルをコントロールすることも重要です。
不安を抑えて、うまくいくイメージを持つために、ゲン担ぎは無意味とは言えません。
>>「非科学的な考え」に頼るというライフハック~迷信の心理的影響 | ライフハッカー・ジャパン
宝くじには結局関係ない
ゲン担ぎがメンタルを安定させるのに意味があるとはいえ、宝くじを買うことに影響がないのは変わりません。
心を落ち着けてパフォーマンスが向上したところで、当たりくじを引けるかどうかにはかかわらないからです。
一方で宝くじを買って、楽しむこと自体は否定しません。
もし当たったらどうしようか、抽選日までずっと期待をもって楽しめる、という「夢を買う」のが宝くじだと思います。
- 「もし宝くじがあたったら車がほしい」
- 「半分は貯金や投資にまわすかな」
- 「家のローンを一発で返せるかも」
もしも当たったときにどんなことがしたいのか、会社の同僚や友人と語り合うのは宝くじを介してだからこそ話せること。
ギャンブルとしてよりも、話のタネなどとして楽しむくらいが、宝くじのやり方なのではないでしょうか。
宝くじに買う日なんて一切関係ない理由まとめ
今回は宝くじと買う日の関係が一切ない理由について、解説しました。
運がいいといわれる大安、一粒万倍日や天赦日といった日と、宝くじを買う日を合わせても幸運をもたらすとは限りません。
- 吉日といわれる日に根拠はない
- 宝くじが当たるかどうかは確率の問題にすぎない
古代・中世からの占いレベルである吉日のような迷信を信じてしまうのは、人間に組み込まれたメカニズムが原因なのです。
- 認知の誤り・錯覚
- 心理学における「オペラント条件づけ」
- 心理的な安心感を得るため
かといって迷信を信じることがまったくダメなわけでもなく、ゲン担ぎのように心を落ち着けるために使われることもあります。
ただし宝くじに限っていえば確率の問題にすぎないので、あくまで迷信は迷信に過ぎません。
宝くじは「愚か者に課された税金」とすら呼ばれる、還元率の低いギャンブルです。
夢を買い、語り合うくらいのほどほどの付き合い方で楽しんでみてはどうでしょうか。
▽ 参考記事
>>【学ばないと損】FP3級を学べばお金の不安は消える【マネーリテラシー】
>>低年収で不安定な派遣社員はFIREできるか【可能にする3つの方法】
>>【vs手を離さない人】改札のタッチが長い人への対処法【イライラ】
上の画像に打たれた点に、なにか法則性を感じるのではないでしょうか?
実はただランダムで打たれているだけで、パターンがありそうと認識しているのは人の認識のせいなのです。